理事長ご挨拶

日本女性医学学会理事長就任にあたって
~ 継承と連携で発展を ~

一般社団法人日本女性医学学会
理事長 髙松 潔
2023年12月吉日

このたび日本女性医学学会の理事長を拝命いたしました。麻生先生、水沼先生、そして若槻先生の後を継いで、4代目になります。1992年に日本更年期医学会となってから31年、一般社団法人日本女性医学学会へ移行して11年という歴史のある学会の理事長という重責に身が引き締まる思いですが、諸先輩方によって築き上げられた現在の本学会の隆盛をさらに発展させるべく、努力していく所存です。何卒宜しくお願い申し上げます。

現在、日本人女性は世界一の長寿ですが、一方で幸福度や生活の質(QOL)については決して高くはないことも報告されています。このため「産婦人科の専門領域の一つで,女性のすべてのライフステージにおけるQOLの維持・向上のために,女性に特有な心身にまつわる疾患を主として予防医学の観点から取り扱うことを目的とする」と定義されている女性医学の意義は大きなものであり、定款にあるとおり「実地臨床・病理および女性のライフステージ に応じた健康管理の進歩・発展を図り、もって人類・社会の福祉増進に貢献すること」を目的として学会を発展させることが必要です。先輩諸先生方のご努力により、女性医学の認知度は上昇しており、会員数も5000名に迫るほど大きな学会となりました。

産婦人科領域の4つめのサブスペシャルティの一つとして・・というよりも基盤となる、あるいは各領域のニッチを埋める役目も担っていると考えています。ただ、会員数の増加に伴い女性医学への考え方がぶれてきているようにも感じています。4代目理事長として改めて議論をしてみたいと考えています。

また、現在行われている、HRTやOC・LEPのガイドライン作成と改訂、女性のヘルスケア研修会の実施、ホルモン補充療法登録者を対象とした長期フォローアップ追跡調査(HRT登録調査研究事業)推進、JNHS(現在のJ-SNOW)への協力などの事業の推進はもちろんのこと、新規事業により、会員ひいては日本の女性へ還元できればと思っております。

さらに、本学会の特徴の一つは多職種の皆さんが集っているという点を活かし、各種学会とのコラボレーションを推進していきます。特に国際学会に関してはCOVID-19のパンデミック後の人的交流の再開に乗り遅れた感があります。今回、韓国閉経学会の公式英文誌であるJournal of Menopause Medicine(JMM)がアジア・太平洋閉経学会(APMF)の学会誌となり、本学会もJMMを公式英文誌とすることになりました。これを機会に改めて国際学会との関係構築をしていきたいと思っています。

このご挨拶のサブタイトルとした「継承と連携」は、恩師の野澤志朗先生が主催された第56回日本産科婦人科学会学術集会のメイン・テーマです。まさに先輩諸先生方の知恵と思いを受け継ぎ、次の世代へ継承すると同時に、学会や国という枠までも超えた連携で本学会を発展させていきたいと考えております。これはもちろん会員の先生方のご協力なくしては達成できないことは言うまでもありません。どのようなことでも結構ですので、ご意見、ご希望などをお寄せください。会員の皆様の満足度を上げ、発展につながる学会運営を志向していきます。
何卒宜しくお願い申し上げます。