理事長ご挨拶
日本女性医学学会理事長にあたって
日本女性医学学会
理事長 水 沼 英 樹
平成28年4月
昨年名古屋で開催されました本学会総会におきまして、理事長を続行して務めることの承認をいただきました。本学会が日本女性医学学会と改称してから3期連続しての指名となりますので、大変光栄に思っておりますが、またその責任の重さに身のすくむ思いがしております。
ご存知のように、本学会は日本更年期医学会を前身として発展してきました。更年期医学を実践して行く上で私たちが学んだ最大の成果は、予防医学の重要性であり、未病介入の重要性です。女性はそれぞれのライフステージにおいて特有な生理機能を発揮しており、その変調はそのステージにおける疾患として顕性化しますが、顕性化に至らないまでも病態として存続し将来において疾患として発病するものが少なくない事を骨粗鬆症、動脈硬化症などの疾患の予防を通じて知りました。女性の一生を通して女性の健康を守るという、いわゆる女性医学の概念の誕生は更年期医学を学んだ者にとって必然の結果であったと言っても過言ではないと思います。
これからの学会の方向性を考えた場合、喫緊の課題は女性医学の一般化とその標準化にあると考えます。このため、学会では既にホルモン補充療法ガイドライン、女性の動脈硬化性疾患発症予防のための管理指針、更年期医療ガイドブック、女性医学ガイドブックなどの発刊、改訂などを行なって参りました。また、学会では認定制度を立ち上げ、既に270名以上の認定者を誕生させて参りましたが、これは全学会員の10%程度でありまだまだ少ない状況にあり、国民の負託に応えられる状態からはまだまだ遠いところに居ると言わざるを得ません。日常臨床における女性医学の重要性をさらに普及させ女性医学の必要性を身につけた医療従事者の更なる育成が必要であると考えています。また、良い臨床を実践して行くためには論理的な裏付けが必要です。このためには、学会は会員が真剣に学び、考え、自由に意見を交換できるものでなければならないことは言うに及ばず、これからは他領域からの参加を進め我々自身の視野を広げて行く必要があります。日本女性医学学会と改称して以来、会員数は激増して参りました。全ての会員が満足できる学会運営を進めて参りますので、皆様のご協力、ご指導を是非ともお願いしたいと考えております。