理事長ご挨拶
日本女性医学学会理事長就任にあたって
一般社団法人日本女性医学学会
理事長 若槻 明彦
平成29年11月
2017年11月4〜5日に大阪で開催された第32回日本女性医学学会におきまして、理事長を拝命いたしました。諸先輩の先生方が築き上げられた本学会の理事長就任は身に余る光栄でありますとともに、責任の重さに身の引き締まる思いであります。これまでの功績を引き継ぐとともに、さらなる本学会の発展のため、全身全霊を傾けて努力する所存です。
本学会の歴史を振り返ってみますと、1986年に産婦人科更年期研究会として産声をあげ、1992年に正式に日本更年期医学会が設立されました。初代の麻生理事長を中心に、更年期から老年期の女性の健康維持という本学会の役割や目的を明確にした学術集会やその他の学会活動が行われてきました。当時、この領域の認知度は低く、学会の立ち上げは更年期以後の女性のQOL向上に大きく貢献することになりました。
また、2011年には2代目水沼理事長を中心に学会の名称を日本女性医学学会に変更いたしました。名称変更の大きな目的は、女性のトータルヘルスケアのためには更年期以後の女性を対象とするだけでは不十分で、思春期から老年期に至る全ての女性の健康管理が必要と考えたからです。当時の学会の会員数は1,600名程度で何年間か横ばいだったのですが、改名後、急速に増員し現在では3,500名に迫る勢いで、先日の大阪の学術集会での参加者は2,000名を初めて超えました。このように現在、本学会の重要性が注目されており、名称変更は学会の活性化に大きく寄与することができたと考えております。さらに本学会は日本周産期・新生児医学会、日本婦人科腫瘍学会、日本生殖内分泌学会に次ぐ4つ目のsubspecialtyとして正式に認められ、今後益々の発展が予想されます。
3代目理事長としてこれから私がするべきことは、様々な新しい事業に取り組み、質的向上を含めたさらなる本学会の活性化であると考えております。女性医学は産婦人科全ての領域と密接に関連しております。例えば、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病妊婦は妊娠中、多くの合併症を引き起こしますが、将来の心血管疾患リスクが上昇することや、多嚢胞性卵巣症候群の場合も将来の生活習慣病リスクになることが報告されています。しかし、本邦ではその予防的介入はなされていません。また、悪性疾患に対する手術や抗がん剤、放射線治療後のQOL低下に対する積極的な予防や治療もなされていません。今後は、更年期・老年期医学に加え、予防医学が極めて重要になると考えられ、その確立にはこれまでの産科婦人科領域に加えて、脂質や血圧管理など内科的知識も必要となります。女性の健康維持のための本学会の役割は益々大きくなると思います。
日本女性医学学会が今後もさらなる発展を遂げるように努力していくとともに、会員の皆様が満足できるような学会運営をしていく所存です。会員の皆様のご協力、ご指導を賜りますよう何卒お願い致します。