理事長ご挨拶
日本女性医学学会理事長に再任されて
一般社団法人日本女性医学学会
理事長 若槻 明彦
2019年11月吉日
2019年11月2〜3日に福岡で開催された第34回日本女性医学学会の理事会で理事長を再指名され、総会で承認されました。理事長を拝命してあっという間の2年間でしたので、どの程度貢献できたかわかりませんが、理事長再任は、今後さらなる学会の発展維持を託されたという意味で、改めて責任の重さに身の引き締まる気持ちであります。
本学会は日本更年期医学会から現在の学会名称に変更して8年間、日本産科婦人科学会のサブスペシャリティーに認定されて4年間が経過しました。これまで本学会では、女性医学の定義であります「この法人は更年期を中心とした実地臨床・病理および女性のライフステージに応じた健康管理の進歩・発展を図り、もって人類・社会の福祉増進に貢献することを目的とする」に沿って、女性ホルモンを中心とした研究や病態解析・治療などが積極的に行われ、診療の目安となるガイドブックやガイドライン、管理指針なども数多く発刊してきました。これらの努力の結果、会員数は急速に増加し、現在3,700名超となっています。また、学術集会の参加者は増加し、数年前から2,000名を超え、ワークショップの参加者も500名を超えるにまでなっています。このように本学会は拡大・活性化してきましたが、これからの本学会の方向性は、さらなる活性化と同時に学会の質的向上に軸足をおくべきと考えています。この目的のために2年前に特任理事を設置して3つの新たな委員会を立ち上げて活動を開始しております。
1つ目は教育委員会で、会員に女性医学の情報知識を提供する目的で、「女性のヘルスケア研修会」を行うことにしました。内容的には女性医学に関わる講演と確認試験を2年間で計6回行う予定で、今年の9月からスタート致しました。参加希望者は予想を大幅に上回る数で、女性医学に対する関心の高さを再認識いたしました。2つ目はリエゾン委員会です。看護師や薬剤師など他職種と連携して学会の発展を図ることを目的としています。看護領域ではアドバンス助産師の更新条件としてウイメンズヘルスケア能力が求められており、教育委員会の「女性のヘルスケア研修会」の講習項目が更新条件に合致できるように現在看護協会と協議中です。また、薬剤師との連携においても同様に検討中です。3つ目は学会相互連携委員会です。骨粗鬆症や動脈硬化性疾患などについて他学会と連携し調査・研究を行うことを目的としています。本学会ではすでに「女性の動脈硬化性疾患発症予防のための管理指針2013年度版」を作成していますが、昨年、動脈硬化性疾患予防ガイドラインが2017年度に改定されたのに併せて、この委員会で本管理指針を改定し、2018年度版を作成しました。今後は、骨粗鬆症についても同様に管理指針を作成する予定です。さらに学術委員会の中にプログラム小委員会を設置し、学術集会の際の演題抄録の査読システムも取り入れ、学術レベルの向上に努めております。
日本女性医学学会は会員の皆様のおかげで急速に発展、活性化してきました。本学会の役割である女性の一生におけるトータルヘルスケアは日常臨床には必要不可欠な領域ですが、歴史も浅く、まだまだ未熟な点も多くあると思います。今後、学会のあり方や方向性についてご意見を広く取り入れ、さらなる活性化と質的向上と同時に会員の皆様が満足できる学会運営に尽力したいと考えております。これからもこれまで同様、ご指導ご鞭撻の程、何卒宜しくお願い申し上げます。