理事長ご挨拶

日本女性医学学会理事長に再任されて

日本女性医学学会
理事長 水 沼 英 樹
平成26年4月

日本更年期医学会が日本女性医学学会と改称されて既に2年が過ぎました。女性のQOLの維持・向上を目的として女性の生涯を通じたヘルスケアの重要性、必要性は産科婦人科学のすべての専門領域に通底する問題であり、女性医学として日本産科婦人科学会内でも確実に受け入れられてきました。
同学会の専門委員会の一つである女性ヘルスケア委員会の活動内容からもこのことは明確に実証できます。僅か2年ばかりの間に女性医学の認知度がこれほど高まった背景には、治療学から予防医学へという医療に対するパラダイムシフトが具現化して来たこと、加えて従来の産科婦人科学の枠組みでは捉えきれない領域が浮上し、その対応が強く求められるようになったことがあげられます。

高齢化が進み、健康寿命の重要性に高い関心が寄せられるようになったこれからの日本において、間違いなく女性医学は今以上に重要性を増すと思います。さらには、少子化、晩婚化、勤労女性の増加等の社会構造の変化も女性医学の必要性に大きな影響を及ぼすことになると考えます。なぜなら、男女共同参画に代表されるようにこれからの女性は男性と同様あるいはそれ以上に社会進出が進み、彼女達が健康に安心して働けるような環境づくりが求められるからです。従いまして、学会はこれらの社会的要求に十分応えられる体力を身につける必要が痛感されます。そうすることで女性医学の概念は医療関係者だけでなく、一般の国民にも認知される存在となりえると思います。

これまで本学会は法人化、認定制度(専門医制度)の発足など社会的に外形を整えた一方、HRTガイドライン作成、更年期医療ガイドブックの作成、女性の動脈硬化性疾患発症予防のための管理指針の作成等女性医学の実践において重要な事業を展開してきました。今後は、女性医学の意義が一般社会にも深く浸透して行くことを計る必要があります。そのためには、女性医学の目的を解り易く広報できること、さらには専門医として認定されるための環境造りを完成させることが課題となります。これらの目標にむけて尽力して参りますので、今後ともいっそうのご指導ご鞭撻をお願い致します。